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架空の庭 更新場所(確定地)
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    目撃者 とある五月の昼下がり

    久々の更新です
    もうちょっと、まぢめに生きなければと
    反省するこのところでありますな〜

    五月の新刊と少々リンクする短編
    青木君視点の、 挙動不審な先輩の話であります。

    続きからどうぞ。



    それは捜査途中、本庁への戻る道すがら———
    道の真ん中で木場がふいに立ち止まった。
    「先輩?」
    どうしたんですか、と青木は木場に声をかける。
    しかし、木場はただ視線を遠くに飛ばしているばかりで、
    応じようともしない。
    「?」  
    となると、自然と青木も木場の視線の先を追うしかない。
    ちょっとばかり視力には自信があるんですよ、と密かに胸の内でつぶやいていた。
    目前にあるのは、いつもと変わらぬ街の景色。
    昼下がりのどこかのんきさをまとった、東京の一角だった。

    (いつもと変わった所があるのか?)  

    そうでないと、木場が立ち止まった理由が判らない。
    なにかを見つけての事の筈だ、青木が確信を深め、
    視界の端に違和感を感じた時、木場の声が聞こえてきた。

    「……ちょっと抜けるぜ」
    「は?」  

    思わぬ言葉に、青木はぽかんとして木場を見る。

    「なんですか。先輩?」  

    あまりにも唐突すぎる木場の言葉に、
    青木もかなり不躾な言葉で木場に返す。
    そして木場は、さらに続けた。

    「一時間ぐらいで戻る。手前は先に帰ってろ」
    「帰っていろって……!」

    何があったんですか、とまで青木は言葉を続けることが出来なかった。
    木場は青木の返事など待つこともなく、先刻の視界の先へと進んでゆく。
    そして、そこは青木が違和感を感じた場所。

    「……あ」  

    そして、青木は思わず声を上げて、軽い自己嫌悪のようなものに襲われていた。
    もっとも、青木にはそこまで思うほどの責任は全くないのだったが、
    それでも木場に自分が見ていた事を知らせないように、
    足早にその場所を去る。

    ——— 困った人だ  

    胸の内で青木は思う。

    その場所には、見慣れすぎた車が停まっていた。
    それもただの車ではない。年代ものの高級車で、つまりは。


    ※※※


    「お帰りなさい」
    「……おう、すまなかったな」  

    確かに一時間程で木場は戻ってきた。
    そして、何事もなかったかのように、席について机上の書類に手を伸ばす。

    ——— 聞きませんよ、僕はね  

    恩を売るつもりもないし、売っても買ってはくれないでしょうし、と
    青木はそっと木場の様子を窺いながら思っている。
    勿論、何があったのかはあくまでも青木の予想でしかないのだが……  
    表情は誤魔化しきれても、ふわりとかすかに感じる残り香だけは、
    どうしても消せない事を未だに木場は気づいてないらしい。

    ——— 本当に  困った人だ

    青木は木場に気づかれぬように、そっと息をついた。

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